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第55回東京都卸売市場審議会議事録

第五十五回 東京都卸売市場審議会 議事録

日時 平成十三年四月十八日(水)
午後十時〇七分 開会

一、開会

細野書記
大変長らくお待たせいたしました。定刻になりましたので、東京都卸売市場審議会を始めさせていただきます。
本日は、委員の皆様方には大変お忙しいところご出席いただきまして、ありがとうございます。申し遅れましたが、私は本日の司会をおおせつかっております細野でございます。よろしくお願いいたします。
会議に先立ちまして、定足数の確認をさせていただきます。本審議会は、東京都卸売市場審議会条例により、委員の半数以上の出席により成立することとなっております。審議会委員の定数十五名中、ただいま十三名の方々の出席をいただいております。したがいまして、定足数を超えておりますので、審議会を始めさせていただきます。なお、本日は、藤田委員が所用のため欠席となっております。また、渡辺委員につきましては、後ほどお見えになるということでございます。
引き続き、四月一日付の組織改正と人事異動に伴います新幹事を紹介させていただきます。
長尾管理部長でございます。
内村事業部長でございます。
石川計画担当部長でございます。
以上で紹介を終わります。
次に、開会に先立ちまして、配布資料の確認をさせていただきます。本日の審議会の資料につきましては、既にお手元に配布してございます。「会議次第」、「委員名簿」、「幹事・書記名簿」、「座席表」、「審議会条例」、そして「第五十五回東京都卸売市場審議会資料」といたしまして、「資料1」、「資料2」がご配布してございます。以上、資料の確認でございます。

二、市場長あいさつ

細野書記
ここで市場長からごあいさつを申し上げます。

大矢幹事
おはようございます。市場長の大矢でございます。一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、委員の皆様方には、大変お忙しい中をご出席を賜りまして、まことにありがとうございます。本日ご審議をいただきます「東京都卸売市場整備基本方針(案)」は、昨年の十二月二十二日の本審議会に諮りました中間報告に対する委員の皆様方からのご意見・ご指摘等を踏まえ、計画部会において、再度ご検討いただいたものでございます。前回の審議会におきましてご議論いただきましたように、生鮮食料品の流通をめぐる環境は、極めて厳しい状況にございます。卸売市場はいろいろな困難な課題を抱え、課題解決のための時期が迫られております。
基本方針案の作成に当たりましては、昨年六月から、精力的に審議を賜りました計画部会の委員の皆様方に心から感謝を申し上げます。本日は、基本方針案を本審議会におきましてご検討いただきまして、答申をいただく運びとなってございます。どうかよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

細野書記
私からのご案内の最後になりますが、マイクのご説明でございます。ご発言の際は、前のボタンを押してからご発言のほどをよろしくお願いいたします。
それでは、この後は髙橋会長のほうに議事進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

三、議題「東京都卸売市場整備基本方針の答申について」

髙橋会長
それでは、ただいまから、第五十五回東京都卸売市場審議会を開会をいたします。委員の皆様方には、大変お忙しい中をご出席賜りまして、まことにありがとうございます。
それではお手元に配布してあります審議会会議次第に従いまして、会議を進めたいと思います。
本日は、東京都卸売市場整備基本方針につきまして、昨年十二月の中間報告の際に出されました委員の方々のご意見・ご要望に関する計画部会での検討の結果をご報告いただきたいと思います。
早速大森部会長から報告お願いいたします。

大森会長代理
計画部会長を務めております大森でございます。座って説明をさせていただきます。
では、まず私から、経過等につきまして説明を申し上げます。
昨年の十二月二十二日に開催をされました当審議会に、整備基本方針について中間の報告をいたしました。その際、中間報告の内容につきまして、活発なご審議の後、「概ね了とする」という取りまとめをいただいたわけでございますが、委員の皆様方から幾つかのご意見やご指摘をいただきました。その後、計画部会を二回開催をいたしまして、審議会から出されましたご意見・ご指摘につきまして、検討を行ってまいりました。
また、築地市場の移転整備に関しましては、幾つかの移転候補地について視察を行いました。
基本方針の第一から第四までの総論部分に関するご意見、ご指摘の趣旨につきましては、基本的に中間報告において、盛り込まれているというふうに判断をいたしましたこと、あるいはまた、今後東京都が作成をする整備計画において検討をしていただくということと考えました。したがいまして、この総論部分につきましては、字句の訂正等を除き、内容の大きな変更はいたしておりません。ご了承をいただきたいと思います。
次に、第五の市場別整備方針についてでございますが、築地市場のところと、多摩地域青果中央卸売市場に関するところの二点について内容を変更をいたしました。特に築地市場につきましては、複数の移転候補地の現地視察等を含め、検討を行いました。その結果、豊洲地区を候補地として移転整備に向けた検討を進めるべきであるという取りまとめを行いました。また、多摩地域青果中央卸売市場につきましては、中間報告の凍結という文言につきまして表現を修正をいたしました。
以上で私からの説明は終わらせていただきますが、変更した点の詳細等につきましては、事務局から説明をしてもらいます。よろしくお願いします。

髙橋会長
ありがとうございました。それでは、事務局から説明をお願いします。浅倉幹事。

浅倉幹事
座ったままで失礼させていただきます。

髙橋会長
どうぞ。

浅倉幹事
それでは、変更した点を含めまして、答申案についてご説明申し上げます。
お手元の基本方針の案文でございますけれども、基本方針案という本文をごらんいただきたいと思います。
表紙をおめくりいただきますと、目次がございます。一ページから二十八ページまでが本文でございます。二十九ページから四十三ページまでが参考資料でして、各種のデータを記載したものでございます。四十四ページ以降が関係資料で、諮問文、審議会の審議経過、審議会計画部会の審議経過、委員名簿となっております。まず、本文の第一から第四までについてでございます。この総論部分につきましては、本文十二ページをお開きいただきたいと思います。
地方卸売市場について記載してございますが、先日の世田谷市場花き部の開場等に伴いまして、地方卸売市場の数に変更がありましたので修正いたしました。そのほかは字句の訂正を除き、内容に大きな変更はございません。内容につきましては、前回の審議会で詳細にご説明させていただきましたので、説明は省略させていただきます。
次に、第五の「市場別整備方針」につきましては、審議会資料2の「東京都卸売市場整備基本方針(案)修正対照表」をごらんいただきたいと思います。一枚の資料でございます。
左側が中間報告の記述、右側が最終報告、答申案の記述でございます。下線部分は修正箇所でございます。変更の一点目は築地市場です。築地市場につきましては、前回の当審議会におきまして、中間報告どおり、「現在地での整備は困難であり、早急に移転整備について検討する必要がある」ということで、いろいろご意見はございましたが、ご了解をいただいております。答申案では下線のとおり、「また、営業を継続しながらの再整備は、市場機能の低下を招くおそれや、衛生面での不安などから、工事の困難性が高い。このため、早急に豊洲地区を候補地として、移転整備に向けた検討を進めるべきである。さらに、移転するまでの間、現在地の市場の機能を維持し、流通の変化に対応するための整備が必要である」と加筆変更してございます。
基本方針案本文の二十七ページをお開きいただきたいと思います。<別紙>として、築地市場再整備につきましての説明資料がございます。ここで、築地市場再整備の経過、新市場に求められるもの、現在地再整備の問題点、及び豊洲を移転候補地とした理由をまとめてございます。ごらんいただきたいと思います。
変更の二点目は、「多摩地域青果中央卸売市場」についての記述でございます。多摩地域には、地方卸売市場の中にも集荷力のある市場が育っていることなどを考慮し、中間報告では、「新たな中央卸売市場については、長期的課題とし、第七次整備計画では、整備を凍結することが適当である」といたしました。これにつきましても、「概ね了とする」取りまとめをいただいたところですが、委員の方々からのご意見につきまして、計画部会で検討を行った結果、答申案では、「当面整備を見送ることが適当である」と変更してございます。その他の市場についての変更はございません。
以上はなはだ簡単ではございますけれども、中間報告から変更したところを逐次説明させていただきました。以上でございます。

髙橋会長
どうもありがとうございました。
本日は、委員の先生方のご意見をお聞きいたしました上で、答申をまとめる方向で議事を進めたいと存じますので、どうかその点でよろしくお願い申し上げたいと思います。
それでは何かご意見のおありの方々、いかがでしょうか。

矢田委員
本日の審議会、大変重要な審議会会議でございまして、特に築地市場につきましては、築地市場がどうなってしまうのかという点ですね。そういうことで、きょうも大勢の方々が傍聴に見えているわけでございまして、築地市場の関係者の方々、築地市場がどうなるのか、こういう不安を持たれているわけでございます。また、本区中央区議会から、高橋、石島正副議長さんをはじめ、各会派の幹事長さんなど、多くの区議会の皆さんもお見えでございます。
区議会では、移転断固反対、現在地の整備を決議しているところでございます。また、唯一の都議会議員であります立石先生もお見えでございます。立石議員は、ついこの間まで、本審議会の委員として長い間活動されてきた方でございまして、移転には断固反対、現在地での整備を強く訴えているところでございます。
そして、本区で署名活動を一昨年の暮れに行いましたけれども、わずか二週間ほどの間に十万六千三十二人の署名が集まりました。本区の人口八万を大幅に上回る数でございました。また、昼間人口七十万ということですから、そのうちの七人に一人は署名をされたと。わずか二週間で、これだけの方々が現在地での整備を強く求めているということがあらわれているわけでございます。そうした皆様方のご意見、要望等を踏まえて幾つかの点質問させていただきたいと思います。
前回、十二月二十二日に開催された審議会におきまして、中間報告ですね、一貫したこれまでの現在地での再整備、これを方針転換する記述が出てきたわけでございますけれども、あまりにも説明が不足している、不十分である、その点をご指摘させていただきました。
また、本日、特に前回は、移転ということを出しながら、移転先が明記されていないのはいかがなものかという点をご指摘させていただいたわけでございますけれども、委員の計画部会の先生方からは、移転先を考えることは僣越である、あるいは問題にもならなかった、こういう回答が出てきたわけですけれども、本日は一転されて、豊洲が最適地であるという結論を出されているわけでございます。しかしながらこの移転先豊洲につきましても、幾つかの疑問、問題点がございます。特に本区におきましては、五つの疑問、これを一昨年、十一月十日から打ち出して提示して、そして回答を求めてきているところでございまして、この五つの疑問、これは区議会の皆様とまた行政、一体となっての疑問、また十万六千の皆様方の疑問でもあり、市場関係者の皆様方の疑問でもあるわけでございます。
疑問の第一は、この豊洲の用地確保の問題でございます。豊洲を最適地としておりますけれども、この豊洲における用地確保、まだ東京ガスをはじめとする関係地権者との交渉中でございまして、確定しているものとは認識しておりません。何しろ、都有地は十四・四ヘクタールしかない。しかし市場関係者は、あそこに四十ヘクタールの土地を確保する。それを明らかにしておるわけでございますから、その点どうやってこの四十ヘクタールを確保するのか。特に東京ガスが昨年の六月二日に出した見解では、先端部分の六、七街区は譲ることはできない、四、五街区は考える余裕があるけれども、六、七街区については受け入れられないと、こういう意向も示されているところでございます。しかも、先般明らかになりましたように、この豊洲、土壌汚染がある土地でございまして、この土壌汚染があるところが生鮮食品を扱う市場用地として最適地としているわけでございますけれども、これがほんとに適切なのかどうか、この点、お考えをお聞かせ願いたいなと思うわけですが、こうした疑問につきましては、この答申案をつくられました計画部会の福田先生、鴇田先生、上原先生から、この用地確保についての第一の疑問にお答え願いたいと思います。
疑問の第二は、現在の築地市場の用地の取り扱いですね。ここは二十三ヘクタール、これまでまさに都民の台所として築地市場となって使われてきたところですけれども、ここをどうされるのか、移転された後、築地市場を移転したならば、この二十三ヘクタールをどうされるのか、一部ではここを売却するようなこともささやかれているわけでございますけれども、そういうことがあるのかどうか、こういう点を明確にしていただきたい。「君国売りたもうことなかれ」という言葉もございますけれども、まさか売却というようなことはないのであろうな、あるのか、その二十三ヘクタールの取り扱いですね、ここを計画部会の委員の先生方に回答をお願い申し上げます。
疑問の第三は、交通アクセスの問題であります。豊洲が交通の利便性でも適しているのであると記述されておりますけれども、実際にどうなのか、当然委員の先生方、豊洲に行かれて視察されたと思いますけれども、ほんとうにここが利便性、築地にまさるものがあるのかどうか、そういった点を含めて、ご討議いただきたいと思います。
特に具体的には、晴海通りの延伸、あるいは環状2号線、さらには、豊洲・有明連絡道路などの幹線道路の整備スケジュールをどのように把握されてここが最適地であるという結論を下したのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
疑問の第四は、場外市場の問題でございます。市場本場と一体となって場外が発展してきたわけでございます。場外市場には四百店舗がございます。この皆様方には、どのように今後対応されるのか、その点について、委員の先生方はどう認識されているのか、基本的な考えをお示し願いたいと思います。
疑問の第五は、移転までの現市場の整備についてであります。きょうの答申案、移転するまでの間、現在地の市場の機能を維持し、流通の変化に対応するための整備が必要であるといった方向性が示されました。ここで現状を、狭い、古い、危ないと言及されているのであります。市場当局は、早急に具体的な改善計画を事業者に示す必要性,また責任があろうかと思うわけでございますけれども、計画部会の委員の先生は、この点どのように認識されているのか、この取り組みについての見解をお示し願いたいと思います。
とりあえず第一回は、以上の点について、計画部会の先生からお願い申し上げます。

髙橋会長
ちょっとお待ちください。事務局、ちょっとお尋ねしますけれども、部会の先生方への質問ですが、お答えしてもらっていいのですか。そちらの方としては。では......。

小栗幹事
ただいまのことにつきましては、計画部会によるご説明を申し上げておりますけれども、改めて私のほうからご説明をさせていただきたいと思います。

矢田委員
ちょっと待ってください。説明されているわけでしょう。説明されているんですから、それをどのように理解されて、受けとめて、この答申案をつくられたのか、その点をお聞き願いたいということでございます。

髙橋会長
よろしいですか。何か説明されて、補充的にやっていただけますか。それとも最初から。
よろしいですか、それでは先生方、どうぞ。

上原委員
今のご質問は、受けた説明を委員がどう理解しているかということでございますので、その観点に立って、私のほうからまず申し上げます。足りないところはほかの委員からよろしくお願いしたいと思います。
まず、この問題は、五番の問題から入ったほうがいいと思いますが、現在の築地を、再整備がいいのか移転がいいのかという問題に尽きるわけです。それで、いろいろ説明すれば長くなりますけれども、ずばり申し上げまして、築地を再整備するということはどういうことなのかと言いますと、障子の戸をガラス戸にしなければならない。こういう認識が少なくとも委員の認識です。つまり、今まで障子戸だったものを、ガラス戸にしていくときには、ある意味では枠組みから変えざるを得ない側面を持っている。そういうつぎはぎの整備では、長期的な物流とか、物流を含む流通の変化に、築地市場の競争力そのものが問われるだろう。ですから、もし、障子の上にガラスをやっていきますと、これはもう抜本的な解決にはならない。ですから、障子をガラス戸にする期間が必要です。おそらくその期間、本格的にやろうとすれば、市場は休まざるを得ないと私たちは判断しております。ですから、どうしても、そこでどこかに築地市場を持ってきて、また築地市場に戻る、どこかに市場を仮につくる。これをやりましたら、大変なお金がかかるというようなことを踏まえて、私たちは移転がいいだろう。
そのときにちょっと注意していただきたいのは、築地市場が今後かなり変化する可能性を持っている。一つは東京都の市場だけではなくて、その前に全国的に市場体系が変化しているんですね。荷の集まりぐあいが集中化していくわけです。世界的な流れを考えると、ひょっとしたら、築地は日本の市場から世界の市場への転換点になる。その意味では、かなり抜本的な情報化を取り入れた機能の強化が必要である。
それからもう一つは、流通が多元化していますから、築地市場は今まで例えば素材的な魚とか野菜を扱っていたのを、ひょっとしたら、高度加工化したものを扱わざるを得ないかもわからない。今、市場ではホームミールリプレイスメント(HMR)と言って、かなりすぐ食べられる、いきなり旬が食べられるものに移っている。そこに市場も適応していかざるを得ない。その面を考えますと、私たちは、少なくとも現在地、使っているのは二十三から二十五だと思いますが、それ以上の面積を確保できて、自由に、過去にとらわれないで、高機能化できる、高機能化することによって活動の面積を拡大できる。こういうようなことを求めていたわけです。それで、私たち幾つかの市場を調査しましたけれども、面積が少なくとも二十五ヘクタール以上はとれると。一応四十ヘクタールの交渉が可能だというふうにして考えたのが豊洲でございます。それで、私たち委員の認識で、東京ガスとかいろんなところで話してきましたけれども、私たちは少なくとも四十に向かって、土地を確保する交渉はかなり可能だと、そういうふうに私たちは判断しております。
それから二番目で、土壌汚染をどうするか。これはちゃんと聞いてきました。あの程度の土壌汚染であれば、いくらでも解消することは大丈夫だと。防ぐことは大丈夫だと。ほかにもいろいろなところで土壌汚染地帯ってあるわけでございまして、そういうことは、うまくクリアしている。クリアできる程度の土壌汚染だと、そういうふうにして判断しております。
それから、現在の跡地をどうするのか。これは非常に難しい問題ですけれども、ともかくこれははっきり言いまして、部会の検討事項ではなかったと申し上げます。ということは、今、区長が言われました一番の問題に我々はかなり精力を割きましたので、これで二番の問題をやったとしたら、一番の問題がよく考えなかったのではないかと、皆さん非常に理論が鋭いですから、そういうことを踏まえまして、しっかりとやりました。二番については、一番が決まってから考えるのが基本的な手順だというのが我々委員の意見でございます。
それから、もう一つ、豊洲の利便性ですけれども、これは、私たちは道路がちょっと市場間を区切るところがあるのですけれども、その対応さえうまくできれば、機能的にはかなりいいものができると判断しました。それで、ヒアリングの結果、対応可能だと判断しております。対応可能であり、なおかつ二十五ヘクタール以上、四十ヘクタールを目指しての交渉が可能だということを判断しております。
それから場外市場につきまして、これは個人的な見解を申し上げます。
卸売市場は、主として二つの機能を持っています。一つは物的流通機能、この物的流通機能はさらに二つに分かれます。一つは、小売り業者や業務店が来てキャッシュ・アンド・キャリーでそこから運んでいく機能、もう一つは、量販チェーンとか、遠くに物的流通を組織化して流通させていく機能、この二つあるわけです。この二つが、実は混在しないで、機能的に連関しているというのが、多分卸売市場の将来のあり方だと。そうしますと、場外というのは、どちらかと言えばキャッシュ・アンド・キャリーの延長として位置づけられます。私は専門家のつもりですから、いろいろなところを見てきますと、場外部分については、これは私の個人的見解ですが、築地に残しても構わない可能性を持っております。あるいは新たな方向でまちづくりの一環の中に入れても構わない。ただし、物的流通を伴う機能は、やはり豊洲に移転せざるを得ない。そういうふうにして考える。場外市場をどうするかということも、跡地利用の中にまちづくりの一環として考えるべきではないかと、私は個人的に考えます。以上が委員のほぼ代表的意見だと思います。

髙橋会長
補足はありますか。

鴇田委員
今、上原先生から非常に明快なご説明がありまして、私は非常に気分的に楽になったわけですけれども、ありがとうございました。私個人としては、築地の移転問題については随分前から考えておりまして、今、中央区の区長さんのご指摘、ご主張というのは、中央区長としては当然のことで、よく理解できるわけです。ただ、お考えになっていただきたいのは、築地の市場というのは、中央区のものでもなく、それから市場関係者のものでもなくて、あれは東京都民の財産なんですね。それを可能な限り、有効にかつ公平に使うということが重要であろうと思います。ですから、特に跡地の問題に関しては、もちろん関係者の利害という配慮も必要ですけれども、やはりあれだけまとまった土地というのは、都心におそらくもう出ないぐらいの貴重な価値があると思うのですけれども、それを関係者及び東京都民、あるいはもっと言えば、日本という国の首都の中心ですから、十分な配慮をもって、新しい跡地計画を練っていただきたい。
そういうところで、中央区長さんにも十分なご主張をしていただく。今、おそらく、築地の市場が存在するということを前提にして、あれをどういう形で代替的に使うか、ほかの使い方は何かというふうな配慮が多分十分になされてないだろうと思います。都民の財産であって、それを有効利用するいう観点から、ほんとうに現状のままでよろしいのか。あれだけの交通渋滞と、それから市場自体が非常に老朽化して、生鮮食料品を扱う場所としては、おそらく消費者があそこを一度見たら、非常に危惧を感じるのではないかと思うのですけれども、そういう点を十分に配慮されて、しかも、現在地で再整理すれば、今、上原先生が言われたように、莫大な財政負担が必要だろうと思います。それは結局、東京都民が背負うことになるわけですね。そういう点を十分にご配慮なさって考えていただきたい。
それから、幹線道路のアクセスの問題ですけれども、晴海通りの延伸というのが、かなり時間がかかるというふうに言われているわけですけれども、東京都の総意を結集して、できるだけ早く、あれが結局、豊洲への移転の鍵を握っていると思いますので、可能な限り早く延伸していただきたい、そういうふうに個人的には思っている次第であります。とりあえずそれだけお話しします。

髙橋会長
ありがとうございました。福田先生、どうぞ。

福田委員
お二人の先生がお話しいただいたので、もっと気が楽になりましたけれども、一つだけ誤解があるといけないので申し上げたいとずっと思っていたことは、私たち計画部会の委員は、築地を無視するということではなく、やっぱり築地というのをものすごく大切に考えながらこの審議を進めてまいりました。ですからここでは移転という結論を出しましたけれども、築地というブランド力、それから長い歴史、伝統、それからこれまでの実績みたいなものをどうやって残したらいいだろうかということは、この裏で一生懸命議論をしてきたつもりなんです。それは多分、まだ伺っておりませんが、現在地の取り扱いの中に生かしたいと、個人的な議論の中では、博物館みたいなものをつくれないだろうかとか、築地のブランドを生かせないだろうかといったようなことは、一生懸命情の部分で考えてまいりました。それが一つつけ加えたいなと思う部分です。
それから、もう一つ今、鴇田先生がおっしゃったような、パブリックという概念をやはり、これから取り入れなきゃいけないんだろうと。もし私が中央区の区民であり、関係者であれば、当然反対するに決まっているわけです。で、それであるけれども、やはり公的な考え方、パブリックな考え方を入れたら、ここはまあ、東京都民のため、それから日本全体のために移転が必要なのではないかという結論に至らざるを得ないのかなと思っております。
それから、用地確保で、この前中間報告のときに、何もないのでは困るというようなことで、確かにそれもそうだと、そういう意向を受けまして、幾つか見せていただいたり、それから東京ガスの方とも話をさせていただいた中で、少なくとも東京ガスの方はちゃんと前向きにお考えになっているという感触を私は個人的に持ったということです。それから土壌汚染の問題も、逆に隠さずにはっきりおっしゃって、しかもそれをクリアできるという数値も、ちょっと今は忘れましたけれども、示されました。ということで、これは多分安心していいのかなという答えを自分では見つけたということになります。アクセスの問題も今、鴇田先生がおっしゃったとおりで、決まれば頑張ってやるように私たちは側面から促進をしなければいけないなというふうに思っております。
それで、場外市場とそれから現在地の取り扱いは多分一体化して考えるべきで、できるだけ築地というもののイメージを残しながらやっていただきたいというのが個人的な意見でございます。以上です。

髙橋会長
はい、ありがとうございました。矢田委員、どうぞ。

矢田委員
どうも答弁それぞれありがとうございました。でも、ますます不安が募るような答弁ぶりでしたね。具体性がなく、論理的でもないし、私たち築地が自分たちの財産だなんていうそんなことは全然考えてないので、区議会の皆様方も区民もみんなでこの首都をつくるんだと、首都はどうあるべきかという観点から、また都民、国民の幸せという観点から、まちづくりを進めているわけでございまして、三年前の平成十年には、区の憲法ともいうべきまちづくりの指針ともいうべき基本構想も策定いたしました。
むろん、中央区はいろいろな側面がございます。日本橋、銀座、あるいは兜町、横山町の問屋街と同じように、築地市場、これも重要なポイントでございまして、そういう位置づけから、首都はどうあるべきか、東京全体はどうあるべきなのかという観点から、中央区だけではなくて、お隣の千代田、あるいは二十三区全体、あるいは土屋委員のいる武蔵野とか、六十二の自治体のあるべき姿等も考えながら、総合的に進めているわけでございまして、そういう観点から立っても、今の答弁、またこの答申ですね。残念ながら納得できないわけでございます。ただ、時間もございますし、また多くの委員の皆様方も質問されるでしょうから、私はここでやめさせていただきますけれども、答申案には納得できない、反対するということを申し述べさせていただきたいと思います。以上でございます。

髙橋会長
築地に関しまして、ほかにご意見ございますか。渡辺委員どうぞ。

渡辺委員
質問を二、三させてもらいたいと思います。
一つは、まず最初に、前回、私も発言をさせてもらったんですけれども、そのときは、再整備をどこでやるかと。というのは、築地で再整備をやるのか、それともほかに移したほうがいいのかということを、審議をしてほしいと、こういう話でありました。
私はそういうことで、質問は控えましたけれども、きょういただいた答申を見ますと、築地市場での再整備ということから、そこでどうするかという問題ではなくて、今度は豊洲ということまで明確に固有名詞が書かれて出されてきている、ということですよね。前回、先ほど申しましたけれども、築地の再整備化はどうなのかということをはっきりさせたほうがいいと言われて、今回の審議会に臨めば、もう既に固有名詞が出てきているということからいったら、やはりちょっと、私はなかなかこの点では手続の問題で納得できるような状況ではないというふうに考えます。
きょう、豊洲に移転するという内容が出されておるわけですけれども、そうであれば、なぜ豊洲に移るのか、その具体的な議論があってしかべるきだというふうに私は思うんですよ。それがいきなり前回は、抑えるというとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、抑える。そして今回新たに豊洲が出される。それがいきなり今度は答申だということになったら、どこで豊洲ということについていいか悪いかという議論をするところがあるのか、ここの審議会しかないわけですよ。ですから私たちはちょっとこの点で理解ができないということで、その辺はどのように考えておられるのか。私から言わせれば、そういう議論をここでもう一回やって、やはり委員の皆さんの意見を十分尊重した上で答申をするということにしたほうがいいのではないかと思うのですけれども、その点はまず最初にお伺いをしておきたいと思います。

髙橋会長
手続問題についてとおっしゃっていますが、どうぞ。

小栗幹事
本日お配りしてございます基本方針の二十八ページをごらんいただきたいと存じます。二十八ページの中で、現在地の再整備の困難性、工事の困難性が高いこと、その中で、市場機能が低下する、あるいは工事費が増高する等々の理由を述べております。それと合わせまして、ここで築地で整備をする場合には、二十一世紀にふさわしい市場とならないということの説明がございます。そこでどこにするかという中で、豊洲という具体的な名前が出てきたという経過でございます。

髙橋会長
どうですか、どうぞ。

渡辺委員
それはわかっているわけですよ。前回そういう議論はしたわけだから、だけども、豊洲という固有名詞はなかったわけですよ。その問題で論議したら、それはちょっと議論が違うんじゃないのということで、いろいろ言われたわけです。改めてきょうは答申だと言ったら、答申の中には固有名詞が出ているわけですよ。議論をする場を保障するということがないじゃないですか、そうしたら。それを言っているんですよ、私は。

浅倉幹事
二十八ページでございますけれども、豊洲を移転候補地とした理由ということで、移転先の条件とししてるる書いてございます。先ほど矢田委員からもありましたけれども、五つの候補地につきまして、委員の方々と我々としても検討し、我々としても、候補地のそれぞれの条件をお示しし、ご議論いただき、その中で出してきたということでございます。

渡辺委員
専門部会の方々の中では議論はされてきておると思うんですよ。それで、全体審議会の場に報告されるということですからね。だけど、固有名詞の問題で私は固執したいわけですよ、実際にね。きょうは時間もないから、あまりそのことだけについては申し上げられませんが、いずれにしても、やり方としては、豊洲というのが先にありきなんですよね。前回もそうですけれども、築地で再整備なのか、それともどうするのか、ということでいろいろ議論がありました。しかしそのときだって、もう既に、いろいろと豊洲ということについてはだれだってみんな知っているわけですよ。どういう投資をやっているのかということはある程度みんなつかんでいる、細かいことは別として。そういうような状況のもとで、なぜ豊洲ということで議論がされなかったのか、させてもらえなかったのかという点で、私はきょうの段階で改めてそういう点では思うわけなんですね。いきなり答申が出されて、いきなりそこへ豊洲という名前が出てくる、全然議論も何もないで、そういうものが答申の中に出てくること自体がおかしいじゃないですか、実際。そう思いませんか。今までそういうことをわかっていながら伏せておいて、それで議論をしようと思えば、それは違うんだということを言って、それでいきなり答申の中に固有名詞が出てくる。そんなばかな話はないですよ。これは審議会で、委員会ではないから、これ以上議論するというのは、ちょっと変な形になりますので、これはそういうことで、私は運営の仕方というのですか、議論のさせ方、その問題があるのではないかと思います。
それで、ちょっとお聞きしますけれども、私も前からいろいろとお願いをしてきたところですが、市場関係者のいわゆる団体の意向ではなくて、市場関係者全員の何らかの形で調査をして、その意向をきちっとつかむというようなことを要望してきたのですけれども、それはどのようになっているのでしょうか。

小栗幹事
業界と東京都の調整機関でございます推進協議会というものがございます。その中でいろいろ議論をしながら、問題点を整理をしてきたという経緯がございます。一昨年の十一月でございますが、その各種の議論の中で、移転が望ましいということが出ましたものですから、それを受けまして、これまで都としても交渉等を進めてきたという経過がございます。
そういった中で、関係者の意向も把握をしているという状況でございます。

髙橋会長
ちょっと部会長から発言を求められておりますので。

大森部会長
前段のほうの問題につきまして、計画部会としての考え方を申し上げたいと思いますが、前回十二月の審議会に計画部会の中間報告を申し上げた。そのときに、現在地での整備は極めて困難である。したがって、早急に移転を含めて検討すべきであるという答申を申し上げた。それに対して、この審議会から、移転先の名前も具体的に挙がっていないのに、おかしいじゃないかというようなお話がございましたので、今回までに二回の計画部会を開きまして、五つの候補地を視察をして、その結果、計画部会の全員一致の考え方で、豊洲というところを候補地として検討すべきであると、そういう答申を今回答申案として提出をしたわけでございます。

渡辺委員
最初に大森会長代理のほうに、反論ではありませんけれども、一言言わせていただきたいのですが、確かに前回そういうお話でしたよね。その後二回の部会を開いて、具体的に豊洲がいいだろうということで、全会一致で今回提案なさったということなんですけれども、前回のときは、先ほど私が言ったように、また大森会長代理が言ったように、築地の再整備がどうかということで、ほかのところの固有名詞というのは出てないわけです。私がちょっと出しましたら、いろいろ意見がありましたものですから。そういうことで、前回の審議会の結論というのは、築地以外のところの候補地、どこかで再整備という方向でしたよね。
それで、部会では確かに固有名詞の豊洲ということで議論はされてきたと思うんですけれども、私たち一般の審議会委員としては、今回が初めてなんですね、実際に固有名詞を聞くのは。ですから、固有名詞で、豊洲に行くというのだったらば、この前もある程度の基本的なところは議論はされておりますけれども、豊洲というところに移るために、いろいろな問題があるわけですよね。だからそういう問題をやはり一般の審議会委員の方々の意見というものを十分汲み上げて、そして最終答申ということで、次の段階、あるいは次の次の段階でも、別にいいのではないかというふうに私は思うのです。そういうことで、先ほどの経過の問題について、ちょっとご意見をさせていただきました。
それから、調査の問題ですけれども、毎度毎度繰り返し同じ答弁ですけれども、全体のいわゆる関係者全員の、アンケートでも何でもいいから、そういう点では意見集約ができているのかということなんですよ。きょう初めて言っているわけではないんだから、何回も言っているわけですから、そういうものをやったのかと。やってないわけでしょう。ただ、関係機関のいわゆる協議会の参加の関係機関の役員さんの意見を聞くということだけでしょう。私はそれでは全体の意思そのものが正しく把握されていないのではないかと思うんですよ。そういう点でお聞きしているんですけれども、その辺はどうですか。

小栗幹事
先ほども申し上げましたように、推進協議会の中で意見をるる聞いておるわけでございますが、全体投票がいいものかどうか、それについては私どもはこれまで検討もしてございませんので、はっきりしたお答えになりませんが、やはり会員の中でいろいろな意見を戦わせる中で、あるべき道筋をたどっていくというのも一つの方法であろうと思っております。

渡辺委員
それは一つの方法と言えばそうかもしれませんけれども、いろんな団体の中で、二団体が反対をしている、そのほかの団体の中だって反対する意見は非常に多いわけですよ、全体として。ですから、私は、そういう意味で、全体の関係者の皆さんの意思というのは、どうなっているのかということを意見集約して、その上に立って市場としては判断をすべきだというふうに私は再三申し上げているのですよ。そのことについては、ただ役員さんで集まって、役員さんを信頼しないというわけではないですけれども、そこで集まって議論を戦わせるというのは、これでは、例えばほんとに全体としてやはりそっちへ移るというときに、スムーズに移れるのかどうなのかという問題だっていろいろ出てくると思うんです。全く民主主義じゃないじゃないですか、それでは。これ以上お聞きしたって、実際その問題については進まないと思いますから、皆さんにご迷惑をかけるということもありますからやめますけれども、いずれにしてもそういう私の立場です。全く意思は反映されていない。全体のアンケートを取ったら、五割以上ということにもなりかねないような状況もあるじゃない。首をひねるんだったら、ちゃんとやりなさいよ、そんなことは、あなた。そういうことで、私は要望してきたわけです。
それからもう一つ、これは時間がありますから、まとめてお聞きしますけれども、一つは先ほど、中央区長の矢田さんのほうから、あそこは売却するのかどうかというお話がありましたけれども、これは土地の交換になるのですか、豊洲と築地のほうは。ちょっとそれは聞かせていただきたいというのが一つです。
それからもう一つは、土壌汚染の問題で、この程度だったクリアできるというお話がありましたけれども、この程度ということなのかどうなのかという問題が一つあるんです。クリアできるということは、どういう意味のものなのか、この言葉の中身というのは、わからないんですけれども、これはどういうふうにしようとしているんですか、土壌汚染の問題。
それからもう一つは、東ガスとの話し合いがありますね。これも前から議論されてきたことですが、大体合意されているということを聞いておりますが、この内容ですね、これは、私たちにこれまでの経過というか内容、そういうものはいただけないのでしょうか。以上です。

小栗幹事
三つのご質問がございました。
まず、跡地の問題でございますが、交換かどうかというご質問でございますが、現在、東京ガスと、具体的な土地の取得の仕方についても含めて、検討をしているところでございます。東京ガスがどのように希望なさっているのか、まだその点がはっきりしておりませんので、交換かどうかということは、今、お答えができない状況にございます。
二番目に、土壌汚染の件でございますが、土壌汚染につきましては、本年の一月二十五日、東京ガスが豊洲における土壌汚染について発表したわけでございますが、東京ガスの発表によりますと、PPPの原則(汚染者負担の原則)に基づいて、平成十九年三月までの間にこれを処理をする。処理の目標値といたしましては、その後の土地利用に支障のない形で処理をするということを明言しております。
それから、東京ガスとの話し合いでございます。東京ガスとは、一昨年十一月から、下交渉といいますか、話し合いをしてまいりました。本年の二月二十一日になりまして、正式なテーブルに載る、すなわち市場が豊洲に立地することを前提として具体的な問題について話し合いをするということでございまして、現在それに基づきまして協議中でございます。夏ごろまでにはその結論が出るという状況でございます。
具体的な内容でございますが、つまびらかにご説明できないわけですけれど、基本的には先ほど申し上げましたように、豊洲に築地が行った場合のまちづくりがどうなるのか、あるいはあそこは土地区画整理事業という形で事業が進められておりますので、その換地をどのようにするのか。そういったことについて具体的に話し合っているわけでございます。

渡辺委員
今の経過の問題ですけれども、話し合いをしている、まだ決まっていない。そういう内容については、これからの交渉とか折衝にいろいろと差し支えがあるということで、その点についてはこちらも配慮いたしますけれども、いろいろ確認された問題ということについては、やっぱり逐次いろいろと情報を公開してほしいと。私たちにそういう資料をいただきたい。こういうことをお聞きしたんですけれども、なかなかかみ合わないので、それは要望しておきます。
それから、もう一つだけ最後に、道路問題、アクセス問題ですけれども、これは先ほどもちょっと話が出ましたけれども、具体的にどういうふうになるのか、計画がわかりましたらちょっと聞かせてもらえますか。

小栗幹事
晴海通りの延伸は、平成十七年が完成の時期ということで、現在工事が進められております。環状二号線につきましては、現在の計画では、平成二十七年に完成ということでございますが、この環状二号線につきましては、一部豊洲地区での工事中であること、あるいは東雲二号地が平成十三年度から工事に着手されるというようなことがございます。都としては、例えば国費の無利子貸付制度の創設などによって、なるべく早期に完成をさせたいという考え方もございまして、具体的にいつまでというのははっきりしませんけれども、いずれにしても、二十七年度以前にその道路が完成するであろうという推定をしております。

髙橋会長
よろしいですか。ほかにどうですか。

橋本委員
部会の先生方が五カ所候補地をごらんになっていただいて、今回の審議会に豊洲地区移転ということで答申をされて、私たちにその結論といいますか、この審議会で結論を出さなきゃならないわけでございまして、そうしますと、5カ所のそれぞれの検討された内容をご報告いただくのがほんとうだと思いますが、いずれにしましても、四十ヘクタール必要であるということと、もう既に二月十一日から東京ガスと正式にテーブルについて話し合いをしているという現状を踏まえますと、豊洲地区ということになるのだろうと思っておりますが。
今、渡辺さんからも話がありましたように、豊洲地区に移転をする、そうすると、移転をした築地市場のオープンはいつととらえておられるのか。いつオープンされるのか。今、道路のアクセスの問題がありました。晴海通りは平成十七年、あと五年後ですが、これでよしとして、平成十七年にオープンができるのか、それとも、環状二号線が、今、お話がありましたように二十七年の完成、十五年後、それを前倒しにしたとしても十年はかかる。その辺をオープンに考えておられるかと。この辺が非常に重要ではないかなと僕は思っております。したがって、最低でも十年となると、現在のこの先生方の答申にも、最後のほうにありました。「移転するまでの間、現在地の市場の機能を維持し、流通の変化に対応するための整備が必要である」特に「流通の変化に対応する」、上原先生、大変これから流通の変化があるだろうと。十年ですから、どんな変化に応じて、どんな整備を築地でされていかれるのかというのは、非常に僕は重要なのだろうと思っております。その辺の移転スケジュールに関して、私がOKできるという内容をお示しいただければありがたいと思います。

小栗幹事
完成の見通しでございますが、先ほどご説明した十七年にできますのは、晴海通りの延伸でございますけれども、土地区画整理事業が完成をいたしますのが、平成十八年でございます。私どもが土地が確保できるのが十八年以降ということでございます。それと、環状二号線がいつできるかという問題との足し算引き算でございますけれども、二十七年が前倒しになれば、できる限りそれに合わせたい、私どもとしては十年程度ということで、現在から十年程度、十年以上といいますか、十年を境にした、十年を超すだろうと思いますけれども、それぐらいの時期はかかるだろうと考えております。その中で、現在の築地市場をどう整備をしていくかという問題でございますけれども、築地市場が今後とも首都圏の中核市場としての役割を果たしていかなければならないというのがございます。それで、新市場の開場まで、それなりの時間がございますので、私どもとしたら、現在、大変老朽化している現有の施設、これについて、あるいは設備も大変微妙な状況もございます。そういったものの保全を行いたいということがまず第一点でございます。
また、二番目に、場内の交通動線が大変輻輳しておりますけれども、これを各改善するための方策をとりまして、物流の効率化を図りたい。
それから三つ目には、環境衛生問題がございまして、これについての手当をしていきたいと思っております。ただし、十年ちょっとということでございますので、それなりの莫大な経費をかけるというわけにはまいりませんけれども、業界の皆様と具体的な内容について協議をしながら、整備を進めていきたいと考えております、以上でございます。

橋本委員
もう一個。
現在地の再整備の決定は、二十七ページにありますように、昭和六十一年の一月、東京都首脳会議で現在地を再整備決定ということで、私たち議会にOKをして進んできたわけですが、そして、再整備の事業としてやったのは、駐車場の建設、工事が困難云々ということがあって、本年までもう既に十年たっておるわけです。今、言われたように、築地の動線とか交通の困難云々というのは、やろうとすれば十年の間にできたわけでありまして、だからしたがって築地の再整備、再整備と言っていながら、十年間何もやってこなかったということではないのかと、私はそういうふうに思わざるを得ないのです。この表によったって何もやっていないんだもの。ということなので、では、この十年、移転するまでの間、ほんとうに現在の築地の中を移転する前に完全な整備ができていけるのかどうかということが、非常に僕は疑問なので、お伺いをしているわけです。
したがって、建物の保全といいましても、たしか僕の記憶では、六十一年ごろにアスベストの騒動があったんですよ。それで、築地の中の衛生上でも大きな問題になっていたんです。おそらく築地の建物の中、今はアスベストはおおいかぶせているのだろうと思います。あの後十年で、建物を建てかえなければならないということになった場合には、そのアスベストが大変に飛び散る。あの中で、生鮮食品を全部扱っているんだから。
そういう問題も僕は隠されていると思っているんだ。だからほんとうに豊洲への移転ということで、現在、我々がここで決定をされて、責任とれるかどうかというのは、非常に僕も疑問なんだよね、僕らの立場からしてみると。何か事故が起こった場合、豊洲に移転を決めて、築地の中で何かあったとしたら、十年間の間で。この十五年間、決めて十年間、再整備、何もやってないのだから。何もやってないって首かしげている......、ほんのチョチョッと周りを整備しただけで、ほんとうを言えば、あそこの中ではだめだというのがずうっと、移転ありきが大体平成三年ごろから進んでいるんですよ。だからそういうことをよーく、当局、中央市場が、これまでの経過を踏まえた上で、今回でほんとに責任持ってやってもらわないと、僕らは長いこと審議会の委員をやっていて、ほんとうに都民に対して責任を持たなきゃならないわけだから、まあ、鴇田先生から都民の財産だという話がありました。中央区長だって、中央区民の代表でおられて、そのお気持は十分僕はわかります。だから移転云々の問題ではなくて、その五つの疑問は、今までやっぱり築地市場の中、やってくれてなかったじゃないかという思いも僕はあると思います、中央区長には。そういうご意見を申し上げて、今後の取り組みを期待したいと思っております。一応ご意見だけ申し上げておきます。

川島委員
ただいま皆様ご意見をいろいろと伺ったり、事情を伺ったりいたしまして、私も一応長いこと消費者問題をやってまいりました立場から、ちょっと心配になったり、いろいろで発言をさせていただくわけです。
消費者問題の原点ということになりますと、ご存じのように、命と暮らしを守るというところが原点だと思います。それを考えますと、やはり二つの点が大変に心配でございます。一つは、今、伺いますと、現在地での、十年間のこれからの営業その他考えますと、今のままではとてもやっていけない。今でも老朽化しているし、私も去年市場を見学させていただきましたけれども、大変に危険なところもあるように見えましたし、ちょっと生鮮食品を扱うにしては不適当ではないかと思うところも見えました。しかし十年間はそこで走らなければならないということになりますと、今、おっしゃられましたように、それなりの整備は一日一日していかなければならないと存じます。安定した食品を本当に安全に供給していただくという意味合いからは、十年は大変長い期間だと思いますし、都民の一日一日の生活を考えますと、やはりそのあたりは決してなおざりにしていただきたくないなと。一日一日を気を引き締めて、それなりの手当をしていっていただきたいというふうに思っております。
それから、私も読みましたけれども、東京ガスさんの土壌汚染の問題ですけれども、クリアできるということで、多分専門家の方々のご意見でございましょうから、余計な心配かもしれませんけれども、やはり水俣の問題、それからイタイイタイ病とか、そのほかずうっと今までのさまざまな環境の汚染問題を考えますと、それで簡単にクリアできるというふうに思えないところもございます。どうぞ、慎重の上にも慎重を重ねて、取り組んでいただきたいと思っております。ともかく口に入るものを扱うわけでございますから、そのとき目に見えなくても、次の世代,次の世代のことも視野に入れて、よろしくお願いしたいと思います。

土屋委員
今のお話と重なりますが、少し申し上げておきたいと思います。
矢田区長さんから、区長という責任あるお立場で問題を指摘されたことについて、市場当局からお答えをいただきたいわけでありますが、まず、四十ヘクタール、現段階で取得できるのかできないのか、できるというのならはっきりとこういう場でできると言ってほしいし、できないのなら、これは移転の前提が崩れるわけですから。私も今、現場で行政職であると同時に政治家としてやっているのですが、国民が行政や政治に不信感を持っているというのは、やると言ったことをやらなかったり、いつまでたっても結論を出さなかったり、こういうことにいやになってしまっているのですね。ですから、この卸売市場審議会で方針を決めるということは、事実上都の方針が決まるということでしょうから、私はまず、この四十ヘクタール、矢田区長は果たして取得できるのかどうかと、こういう問題点を投げたのですから、これについて市場当局は、できるのかできないのか、はっきりさせていただきたいと思います。
それから二点目として、これまたやはり土壌汚染について触れられたわけでございます。土壌汚染については、原因者負担でこれを除去し改善するという、これは当然のことだろうと思っております。ただ問題は、市場側としてその改善工事なり対策なりがきちんと行われるのかどうか、そしてそのことに対して、きちっと行なったかどうかということの評価については、市場側の中にきちっと専門委員会でも何でもつくってやらないと、原因者負担と言って向こうが責任を持ってくださいというわけにいかないんですね、これは、中央卸売市場として仮にやるとすれば。これについては一体どうお考えになっているのですか。

小栗幹事
まず四十ヘクタールの話でございますけれども、現在、具体的に東京ガスと四十ヘクタールを私ども確保したいという前提でお話をしております。これが確保できるよう、私ども最大限の努力を今、しているところでございまして、私どもとしてはこれは確保できるという気持ちで臨んでおります。
二番目に、土壌汚染の問題でございます。確かに私ども、市場としての土壌汚染の処理対策がどうかというチェックの機能はございませんので、実はこの土壌汚染対策につきましては、東京ガスは、環境局の指導を受けております。私ども、環境局とこれらの処理の方法、処理の内容、そして処理の結果、そういったものについて、逐次情報を得ながら、環境局の判断を私どもの判断の参考にしていきたいという考えでおります。

土屋委員
大概そういうとこになるんですが、私も三多摩で廃棄物処分組合の管理者をやっているのですが、東京都の環境局の力というものは非常に厚みを持った専門家もそろえているので、基本はそういうことでいいのだろうと思うんです。ただ、最終的に責任をとるのは環境局ではありませんから、卸売市場ですから、環境局が調査したり、あるいは指導したりしていることの妥当性について、何らかの対策をとらなくていいのかどうか。例えば三多摩の広域処分組合の場合には専門家の委員会を立ち上げてそこできちっとチェックをいたしております。そういう、つまり中央卸売市場側に少なくとも一定程度のチェック機能があって、東京都の一つの部局である環境局が行っていることについても、これは特別会計ではなく企業会計でやっているわけですから、企業会計側としての都民に対する安全であるという説明責任、こういうことをきちっと果たしていく必要があるのではないかというふうに考えております。

髙橋会長
はい、答弁は。小栗幹事。

小栗幹事
ただいまご指摘いただきました内容につきましては、私ども検討させていただきたいと思いますが、それと合わせまして、あそこに新しい建物施設をつくるといたしますと、環境アセスメントという仕組みの中に乗せなければならないということになっております。そういった中でも、その確認がとれるのではないかと私ども考えております。

髙橋会長
ほかに、ご意見、ご質問ありますか。

橋本委員
地権者は東京ガスだけなんですか、四十ヘクタール、ほかの地権者、要するに四十ヘクタール取得の相手先はわかりますか。

小栗幹事
豊洲につきましては、大きく分けて四つの地権者がございます。東京ガス、東京電力、東京鉄鋼埠頭、そして東京都になります。現在、土地区画整理事業が行われておりまして、私どもが確保したい部分、これについてどこの現在所有者が、そこに換地がされるかという問題がありますので、東京ガスだけではございません。東京ガスだけではなく、東京鉄鋼埠頭、あるいは東京都という中も入りますし、それから土地区画整理事業で換地が行われまして、保留地ができますので、それを一部購入するというようなことも出てくるのではないかと。まだこれは、現在、東京ガスがどういう形で残られるのか、土地交換されるのか、そういう話は完全に詰まっておりませんので、どこどこから買うという話はできませんけれども、まあ、その四つの地権者プラス保留地を購入するということになります。

髙橋会長
よろしいですか。

橋本委員
それがいつごろから用地確保のあれで進むのですか。それとも......、その保留地というのは、一般民間人も入ってくるわけでしょう。

小栗幹事
この換地設計が終わりまして、換地そのものが完了するのは平成十八年になります。ですから、十八年の時点でどのような土地の所有形態になっているか、それを見て、私どもが土地、基本的には先端部を買いたいと希望しておるわけですけれども、それがどこのだれが地権者になっているかということで、購入先が変わってくるものですから、ちょっと土地区画整理事業をやっているものですから、そのあたり、ご理解をいただければなと思うんですが。

橋本委員
そうすると、なかなか移転オープンのスケジュールが立てられないじゃないですか。できないじゃないですか。

小栗幹事
ちょっといいですか。

髙橋会長
今のことに補足できますか。

大森会長代理
ちょっと足らないでしょう。

髙橋会長
小栗幹事、いいですか。

小栗幹事
申しわけございません。土地区画整理事業で物が進んでおりまして、現在、東京ガス、たしか四十ヘクタール以上土地を持っておりますけれども、東京ガスが残る場所が今の場所なのかどうかという問題もございます。そういったものがこれから整備がされるということになります。それで、例えば東京鉄鋼埠頭からは、東京都に協力をいたします。あるいは東京ガスも東京電力も、協力をいたしますというお話も伺っておりまして、土地区画整理事業が完了し、私どもが行く場所が決まれば、東京ガスさんの最終的な同意が得られれば、問題はないわけです。それの購入時期というのは、やはり土地区画整理事業が完了いたします平成十八年ごろということになろうかと思います。

橋本委員
幹事、すみませんね。東京ガスが何ヘクタール換地するという、そこの計画を言ってくれないと。

大森会長代理
今、橋本委員からのご質問の中で、保留地の中には一般地権者がいるのではないかというようなご質問があったと思うんですが、それはないわけでしょう。そこだけ明確にしておいてください。

橋本委員
ないの?

小栗幹事
大変失礼いたしました。保留地につきましては、まず東京都の建設局が今あそこの工事主体でございまして、建設局が一たん保留地として受けとめをします。それを他に売るという形になりますので、基本的には東京都がそれを管理をするという形になります。

髙橋会長
よろしいですか。
それでは、築地に限っての問題で、あと、ご質問、ご意見等ありますか。ないですか。
それでは、関本委員、どうぞ。

関本委員
きょうは委員の方々、大変いろいろとお話をいただきまして、ご審議ありがとうございます。私も中央市場出身といいますか、選ばれて審議会に出席をしている者でございますので、きょうの審議会の審議内容につきましては、私どもとしては満足のいくものではないかなと思っております。
私は、十二月二十二日に開催されました五十四回の当審議会においても、築地市場の移転問題については、移転を検討ではなく、移転ということでご答申を願いたい、このように申し上げておったわけでございまして、今回その部分について、豊洲地区という具体的な候補地を明示されましたことは、移転によって市場流通に適した近代化を願う者にとって、大変当を得たお考えであると、このように考えているわけでございまして、きょう示されました方針に沿って、将来建設されるであろう新市場が、流通業態の変化、ITへの対応など、新しい流通に適した新しい市場となるとともに、全国の出荷者や全都民消費者の期待にこたえるような市場の実現に向かって、東京都当局とも積極的に取り組んでいきたいと考えておるわけでございます。
移転の前に、まだでき上がる前に、十何年という期間が必要でありますので、その間この市場を十二分に力を発揮できるような体制を維持すべく、前回にもその整備をお願いをしておったわけでありますけれども、このたびはその移転の問題について、場内の整備についてもこういうようなご答申になるべく案が出ておりますので、その機能を維持して適切なる対応を取るようにいたしたいと、かように思っております。いろいろと問題も多いわけでございますので、もちろん都のご意向もございますでしょうけれども、我々、現在使っておる者の立場から、再整備については、いろいろとご意見を申し上げて、できるだけ実際に使いいい、効率的な、しかも衛生的にもあらゆる面でできるような市場をつくるようにご協力いたしたいと思っております。今までいろいろご質問が出ておりましたけれども、今までやっていながら途中でみんなやめになってしまうということで、移転が決定されるまでは、実際に何回そういうような事態を繰り返したかということで、これが決定ということにあいなれば、その線に沿うて、完全に近いというか、可能な限り便利な、しかも使いやすい市場に我々としても改善に努め、そのようにされるように努力をしていきたいと思っているわけであります。
今まで、移転であるか現在地整備であるか、大概私どももうんざりしております。何とか早く、どちらかに決めていただきたいと、かように思っておったところ、きょうはこのような豊洲という具体的な名前も出まして、移転整備という方針に決まりそうな状態で、きょうの審議会は大いに最後の最後に期待をかけているというようなわけでございますので、一言ご意見を申し上げまして、発言といたします。

髙橋会長
ありがとうございました。
それでは、この築地問題につきましては、以上でご意見等がないという判断をいたします。
はい、何かご質問がありますか。

渡辺委員
会長、ご意見がないということで、ここで締めちゃって終わりということであれば、今まで質問なんだけれども、意見ということで一言言わせていただきたい。これは一番最後になりますが。

髙橋会長
では、そうしてください、一番最後でもいいですね。
実は、きょう藤田委員がお休みになっております、きょうご出席できませんが、しかし、ご意見を申し上げたいというのを文書でお預かりしておりますので、ここでちょっと読み上げさせていただきます。
最終答申に対する意見。
「本日はよんどころない所用があり出席できませんので、事前に配布された答申案について次のとおり意見を申し上げます。

  1. 答申案を審議会答申とすることに賛成します。本答申案を作成された計画部会の委員の方々に敬意を表します。
  2. 第一から四の総論部分について。流通環境の変化と今後の卸売市場のあり方について、詳細かつ具体的によく検討していただいたものと高く評価します。

この中で論じられているように、社会経済の急激な変革のうねりは、生鮮食料品流通にも確実に押し寄せており、市場のあり方に対する大胆な発想の転換と変革への挑戦なくして、市場のあすはないという指摘はそのとおりであると思います。
しかしながら、昨年十二月の中間報告の審議の際に、質問をし、意見を申し上げましたが、競争原理の一層の導入や、新規参入といったことの具体化に当たっては、論理の積み上げに偏ることなく、現にそこで働いている人たちにも配慮した現実を直視する検討を行っていただきたい。また、市場の統合・大型化については,前回の審議会で豊島市場を例に申し上げましたように、いろいろな角度から検討を行っていただきたいということも付け加えさせていただきます。

  1. 築地市場の整備の方針について。

前回の当審議会において、「出口のない現在地再整備論議はもうやめて、移転により二十一世紀にふさわしい基幹市場づくりを目指すべきである」との意見を申し上げました。本日、中間報告より一歩踏み込んだ「豊洲を候補地として移転を検討すべき」との最終報告が提出されました。私はこの内容を強く支持いたします。前回の審議会で、「候補地不明のまま移転論議をすべきでない」などの意見が出たことを踏まえ、計画部会が新市場のあり方についてつぶさに審議を尽くされ、このような取りまとめをされたことに敬意を表します。
一方、去る二月の定例都議会において、石原都知事は、「豊洲を候補地とし、関係者と本格的な協議を進めて、移転に向け全力を尽くす」との明確な方針を表明されました。現在地再整備の困難性が明らかであり、二十一世紀にふさわしい基幹市場のあり方を審議すべき当審議会としては、豊洲移転を明確に答申することが最善の道であります。
今、築地市場は移転に向けて大きく踏み出そうとしていますが、多様な考えを持つ市場内外の関係者への対応や、これまでの取引、物流の再構築など、超えるべきハードルがあることも事実です。東京都は今度こそ移転の軸足を揺るがすことなく、都民に日々の糧を供給するという使命の実現に向けて邁進されることを要望します。藤田十四三」以上であります。
以上でありますが、それでは、どうぞ。

渡辺委員
それでは、意見を簡潔に述べさせていただきたいと思います。
中央卸売市場は、都民の台所、食卓にどれだけ早く、しかも新鮮な青果物や鮮魚が届けられるか、都民のニーズにどれだけこたえられるかが重要な責務の一つであります。それがゆえに、安全で清潔な基幹市場としての機能を求められるのは言うまでもありません。しかし、我が都が今回の答申に向けて、中央市場のあり方がこれほど真剣に問われているということはないと思っております。それも長い歴史を持つ築地市場を移転させるかどうかを問う重大なものだからであります。この問題は市場関係者だけではなく、都民生活を左右する大きな問題だけに慎重にしなければならないことは言うまでもありません。そこで、何点か申し上げたいと思いますが、まず手続の問題であります。第一に、今回の築地移転計画は、まさに「移転、先にありき」であって、開かれた議論というのも必ずしも十分ではないというふうに思っております。しかもこれまでの経過について、二十三ヘクタールの市場の移転について、地元である中央区に具体的な相談あるいはまた情報の提供がなかったということも議論されましたけれども、たとえ合意形成に至っていなかったとはいえ、密室の中の取引という印象はぬぐい去ることはできないとい思います。まさに情報公開時代に逆行するものと言わざるを得ないと思います。
第二点目ですが、全体の市場関係者の意思や意見を掌握し、実施したかどうかという問題であります。審議会の中につくった専門部会で具体的な検討をしてきたとは言われますが、全市場関係者からの意見をどのように把握してきたのかという点では、ほんとに十分ではないというふうに思っております。私はこのことを繰り返し要求したところでありますが、総力を挙げて個々の意見を把握する、こういうことは民主主義の基本であると思います。
市場関係団体六団体、うち、移転推進を決めた四団体でも、機関決定であって、構成メンバーの総意ということになっていないのではないかと思っております。特に、無視されがちなのは、買い出しの方々、場外市場の方々の生活の実態は、一層これによって深刻にならざるを得ないと考えます。
三番目にアクセス問題です。言うまでもなく、豊洲地区への移転と言っても、現状の限りではアクセスが最大の問題になるだろうと思っております。現状は晴海通りしかありませんし、その他の道路と言えば、臨海道路の計画がありますが、この道路の完成時を待つということになれば、これは市場の移転が間に合わないということにもなります。市場の移転ということになれば、当然環状二号道路の前倒しが出てくると思います。この道路建設については、何千億という財源が新たに必要になるわけでありまして、ご案内のように臨海副都心開発の破綻は明確になっておるわけで、これをこの道路を推進するということになれば、今後臨海副都心開発に、約一兆数千億円の新たな財源が必要になってくるわけですが、これまで財源は開発者負担で、都民の税金は使わないと、こういうことで進められてきた臨海開発も、今日では莫大な一般財源を投入せざるを得ないものになってきておるわけです。我が都としては、この臨海開発が都財政を一層深刻化させ、泥沼化させるようなことになりかねないと。こういうことから、抜本的な見直しを求めているところであります。
その莫大な投資の中の一つの重要な事業として、環状二号線建設があるわけで、私たちはこの二号線の建設にも反対しているところでもあります。なぜ反対なのか。環状二号線道路というのは、まさに臨海開発の屋台骨であります。まして築地の豊洲移転を契機にしまして、この環状二号線道路建設計画を大きく前倒しするということで取り組むということになるだろうと思いますし、それによって、臨海副都心開発を一層促進するということにもしていくだろうというふうに思っております。
臨海副都心開発の見直し期日が、本来ならば来年行われることになっておるわけですが、環状二号道路建設がどうなるかによって、この見直し期日も、あるいはまた見直し内容も変わるだろうと、こういうふうに思っております。この道路建設そのものが、見直すかどうかに大きな影響を与えるというのは言うまでもありません。いずれにいたしましても、場外市場の方々を含めて、市場関係業者の営業と暮らしを守る、あるいはまた都民の食卓を守るという観点から重大な問題であります。より慎重に検討する必要があるだろうと考えています。
今回の答申の中には、「移転、先にありき」というふうに私たちは断ぜざるを得ないということで、審議会答申の内容については賛成できない、したがって反対であるということを表明しておきたいと思います。以上です。

髙橋会長
それでは、築地関係については以上をもって意見、あるいは質問はないものといたします。
そこで、次の築地以外の市場について、この際ご意見、ご質問等ございますか。比留間委員。

比留間委員
多摩地域の卸売市場の関係につきましては、十二月の本協議会でご意見を申し上げまして、今回の答申では、凍結から当面整備を見送るというふうに表現が変わってまいりました。このことにつきましては、計画部会の皆さん方にご協力をいただいたと思っておりまして、前回から思いますと、一歩前進をしたかと思うのですけれども。
そこで、ちょっとお伺いをいたしまして、お答えが出ましたら、それを納得をしたいと思いますけれども、三多摩につきましては、当分地方卸売市場で活用していかなければならないかなと思いますけれども、その中で、中核的地方卸売市場制度というのですか、これを活用して進めていく、またもう一方で、施設整備事業主補助制度活用というのですか、この辺を活用していただいて、二十三区とも同じようなレベルの市場に整備をしていただけるのかとどうか、その辺がわかりましたらひとつお答えを願いたいと思います。

浅倉幹事
お答えいたします。本文の二十六ページに記載してございますが、中核的地方卸売市場と申しますのは、中央卸売市場のない地域の大規模な地方卸売市場を活性化し、地域における生鮮食料品の中核的流通拠点を構築するため、昨年、食品流通構造改革促進法が改正されて創設されたものでございます。
一定の規模要件、あるいは都道府県整備計画で、中核的卸売市場と位置づけられていること、あるいは施設の近代化措置を図るといった一定の要件がございますけれども、我々といたしましては、今後整備計画の中で、多摩地域の地方卸売市場について、これら該当するものについては、中核的卸売市場として位置づけ、七次整備計画の中で改善を図っていきたい、対応していきたいと思っております。
中核的地方卸売市場として指定しますと、固定資産税の軽減措置が五年間受けられる、あるいは機能高度化施設の整備に対する補助が受けられるといったメリットがございますので、この制度は活用していきたいと思います。
それから補助金ですけれども、施設整備の補助金は、地方卸売市場の開設者の整備計画と要望に基づいて対応しているところでございます。現在の補助金につきまして、その額を増額してほしいという要望が業界から我々受けております。一般会計を財源としておりますので、現在の都財政では非常に厳しい状況でございますけれども、いずれにいたしましても、今後七次整備計画作成の中で、地方卸売市場の開設者から具体的な今後の整備計画を聴取し、十分検討し、対応してまいりたいと思っております。

土屋委員
市長会から派遣されておりますので、一言申し上げておきたいと存じますが、長い間、いわゆる多摩二十六市を中心とした地域に中央卸売市場をつくるという方針で今までやってまいりました。なかなか具体的なプログラムまでいかなかったのですが、少なくとも方針はそういうことでやってまいりました。私も十年ぐらいこの委員をやっておりますが、方針は出ているのだけれども、一向に実現されない、こういうことがございます。しかし、今回は市場はどうしても動いているわけでありますので、その時流に合わせて、中央卸売市場にこだわるよりも、中核的な地方卸売市場を育成しようと、こういうふうな方針に変わってきたのだろうと思って、まあ、それはそれで、時流に合ったような措置なのではないかなと思っております。
ただ、多摩は二十三区の倍の面積がありますし、同時に四百万人の都民が住んでおります。県の規模からすると、静岡県ぐらいの規模になるわけで、全国の四十七都道府県の中でも十番目ぐらいのスケールを持っているわけであります。こういう中に中央卸売市場がないということについては、環境の面から言っても、本来ならそこで一定の生活が完結できるようなこういう整備がなされてしかるべきだろうと理屈の上では考えております。
でありますから、中央卸売市場にかわる機能としての中核的地方卸売市場でございますので、これについては、中央卸売市場にお金をかけるのと同じような意気込みでやっていただかなくては困ると。都財政が厳しいというのは、どこへ行っても枕詞で聞かれるのですけれども、やはり中央卸売市場にかわる中核的地方卸売市場ということですので、そのようにぜひお願いをいたしたいと思っております。
市長会から派遣された者として、このことは特にお願いをいたしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

髙橋会長
はい。
ほかにご意見、ご質問等ございますか。岡田委員、終わる前によろしゅうございますか。
それでは、これをもって、審議は終わります。
いろいろご議論いただきました。反対の意見も含めまして、いろいろあったわけでございますが、大方のご意見といたしましては、計画部会の答申案でご賛同を得られていると考えます。反対意見につきましては、議事録にとどめることにし、ご提案につきましては、その趣旨を今後都が策定いたします整備計画の中で検討すると、こういうことで、基本方針としては、原案どおりの内容で知事に答申いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

髙橋会長
はい、ありがとうございました。
それでは、知事に答申をいたしますが、本日は知事の代理として副知事がお見えになります。しばらく時間をいただきたいと思います。

四、答申

髙橋会長
それでは、本日は知事の代理といたしまして、濵渦副知事に答申をお渡しいたしたいと思います。よろしくお願いします。
東京都知事 石原慎太郎殿
東京都卸売市場審議会会長 橋俊龍
平成十三年四月十八日
東京都卸売市場整備基本方針について(答申)
平成十二年六月七日付12中経企第56号により、貴職より諮問を受けた「生鮮食料品等の円滑な流通を確保するために必要な卸売市場の整備の基本方針」について、審議の結果、別添のとおり答申いたします。
それでは、副知事からごあいさつをちょうだいいたします。よろしくお願いします。

濵渦副知事
本日は皆様方大変お忙しい中を審議会にご出席をいただきまして、ありがとうございました。本来ですと知事が出席するべきところでございますが、あいにく欠席でございますので、知事にかわりまして、私、一言ごあいさつ申し上げます。
第七次卸売市場整備基本方針につきまして諮問申し上げましたところ、昨年六月以降、審議会三回、計画部会十三回と、精力的に審議を尽くされ、ただいま会長から答申をいただきました。この間の委員の皆様方のご労苦に対し、心から敬意と感謝を表するものでございます。
改めて申し上げるまでもなく、卸売市場は、都民に対し生鮮食料品を安定的に供給する重要な使命を担っております。昨今の流通環境の急激な変化、並びに厳しい市場の財政状況にあって、市場整備をいかに進め、都民の負託にこたえていくか、重い課題と受けとめております。
ただいまいただきました東京都卸売市場整備基本方針を踏まえ、この秋を目途に、具体的な整備計画を策定してまいりたいと考えております。委員の皆様方のご尽力に重ねて厚くお礼を申し上げますとともに、今後ともよろしくご指導賜りますようお願い申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。
ありがとうございました。

髙橋会長
どうもありがとうございました。

五、閉会

髙橋会長
それでは、本日予定いたしました議題は終了いたしました。本日はお忙しい中、長時間にわたりまして、各委員の皆様方のご熱心なご審議をいただきまして、ありがとうございました。また大森部会長はじめ、計画部会の委員の皆様方には、答申案の取りまとめに当たりまして、大変ご苦労をおかけいたしました。答申の趣旨を十分に取り入れて、整備計画を策定していただきたいと思います。
これをもって第五十五回東京都卸売市場審議会を閉会といたします。
どうもありがとうございました。
午後十二時〇五分 閉会

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