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第2回新市場基本コンセプト懇談会議事録〈要旨〉

(要旨)

日時:平成13年10月9日(火)
午前11時00分~
会場:築地市場 東京都第4会議室

1.講演 「食生活と消費行動の変化」

講師:福田順子委員(城西国際大学教授)

食生活や消費行動の変化について、パートⅠ「若者の食生活の一端」、パートⅡ 世代別消費論(団塊世代以降)、パートⅢ ライフスタイルの時代の消費生活・食関連行動の3部構成で講演がなされた。

パートⅠ「若者の食生活の一端」

(1)大学生を対象にした食事についてのアンケート調査結果から、現代の若者の食生活は、以下のような状況が垣間見られる。

調理をする若者は200人中11人であり、一人暮らしが多かった。また親と同居している若者は、自分が作らなくても誰かが作ってくれると考えている。以上の結果から、多くの若者が調理をしていない実態が明らかになった。

友達とのコミュニケーションにファミリーレストラン等の外食や中食をよく利用することや作る方が逆に高くつくといった経済的な理由から調理をしない若者が増えている。

調理道具の保有状況の調査結果では、調理道具を持っていない人が最も多く、一人暮らしの人でもかなり人が持っていない。また、調理道具を持っている人でも、外食派が多かった。

(2)パートⅠにおける福田委員の見解

  1. 現代の若者の食生活を見ると、食ということに対してあんまり欲求やこだわりがない。
  2. 若者の間では、食自体がコミュニケーションの手段として活用されている。
  3. 若い女性はもっと安くておいしければ3食外食にしたいと思っており、もし経済的なバリアが外れれば、中国型の3食外食ということが起こらないわけではない。

パートⅡ 世代別消費論(団塊世代以降)

団塊世代以降の世代別の消費論について

団塊世代、シラケ世代、ハナコ世代、ばなな世代、団塊ジュニア、ポケベル・携帯電話、IT世代の7分類し、その特徴にについて現状を分析した。

  1. 団塊世代(現在、53歳の人達を中心とした世代)は、食生活に関し簡便化志向、合理化志向が強い。
  2. シラケ世代(同、44歳)は、消費生活を日常的なものと考えており、家事をするのは女性という意識が残っている。
  3. ハナコ世代(同、39歳)は、いろいろな情報を取って、メディア信仰する世代で、高度消費社会をエンジョイした。
  4. ばなな世代(同、34歳)は、自分探しや自分磨きといったことに投資する世代で、仲間や同世代で固まる傾向が強い。
  5. 団塊ジュニア世代(同、29歳)は、消費を日常性として取り入れ、合理的で堅実な世代。閉じこもり型のネスティングや巣ごもり的な生活を好む。
  6. ポケベル・携帯電話世代(同、25歳)は、非常に移り気で、ほとんどこだわりがなく、今がよければそれでよいという傾向がある。また、新商品・新製品好きで、それらがあるコンビニが好きである。
  7. IT世代(同、23歳)は、食よりIT。味覚もほとんどわからない。料理にも無関心。

(3)パートⅡにおける福田委員の見解

  1. 今後、若者、シニア及び女性は、食の関連のマーケットとして特に注目に値するのではないか。
  2. 特にパワフルシニアについては、カネ(金)持ち、トキ(時間)持ち、健康持ちであり、介護を必要としない人たちは食にこだわりがあり、情報もよく集めるため、今後いいマーケットなるかもしれない。
    ただし、シニアに対する研究はほとんどなされていないので、商品開発者が実際のニーズがわからないのが実態。

シニアは、健康的な理由等からできれば調理をしたくない世代で、調理済みの食品を手軽に食べたいというのが食に対するニーズである。

若者は、食のマーケットとしては大きいが、食に対する関心が薄れており、あまり量的な者は期待できない。

パートⅢ ライフデザインの時代の消費生活・食関連行動

(1)マーケティングの視点から考える。

物や機能を消費する時代から感性やこだわり、意味や時間、空間を消費する時代に変わった。

物的充足の時代の到来により、新しい食のあり方を考えなければならない。

現代人の飲食にかかわる感性とは、現代人はコンビニ型のファーストフードで育っているため、味よりも価格が最優先される。

現代の若者の消費特性について、目に見えない情報価値を消費する情報消費、既存のスタイルにこだわらず、新しい自分だけのスタイルを編集、創造する編集型消費、商品の品質と価格のバランス等を見極め、堅実な価格基準で消費する堅実消費、巣ごもりするように仲間たちのだけの中でコミュニケーションを楽しみながら消費するネスティング消費、その場だけの時間を作り、その場で消費してしまうライブ感覚・時間消費の5つに分類される。

(2)パートⅢにおける福田委員の見解

食生活にかかわる「便益の束」の発見(コミュニケーションをするために食を利用等)

※「便益の束」...マーケティング用語で、bundle of benefit といい、ここでいう便益とは、消費者の持つ問題解決を意味している。簡単にいえば、多くの消費者ニーズを一つの束としてとらえ、消費者の抱えている問題から商品を発想するという考え方

安全で、新鮮で、美味である便益が食生活の場合は一番重要である。

新しい市場を開拓するためには、食の部分のコンセプトを変換する。(ビールを缶にすることで家庭内等の需要に加えてアウトドアでの需要も増やし、マーケットを広げる。)

価値と価格の両方を満足できるトレード・オン(安くておいしいといった両方の価値観を満たす)を新しいマーケティングでどのように実現していくか。

新しい発想を導入していくと、食のマーケットは広がる

(参考1)団塊の世代以降の世代別自分史の事例

(参考2)消費者と流通外資との関係性を分析

2.質疑

(座長)
従来の素材型食から新しい方向に、消費者は問題解決を求めているが、売り手側の方からの提案がない。

(委員)
家族そろっての食事ということは、若者はほとんど意識してない。
食のイメージが、素材のイメージで食をとらえるのではなくて、メニューのイメージで今の若い人は食をとらえている。また家庭で調理をする技術を継承してない。

(座長)
マクロ的にみたら、消費者は素材を買うのではなく、問題解決のために消費するということになってきている。魚を消費者と話をしながら好きなように切り身にするといったコミュニケーションの問題解決や健康という問題解決になっている。

(委員)
新しい市場をつくられるときに、ぜひ消費者がつくり方とかさばき方がわかる体験コーナーようなものがあったらいい。

【事務局】今の講演を聞いて、食生活が貧弱化し、今後、人口も減っていく中で、生鮮分野はもう減っていくと考えているのか。あるいは、食のマーケットはもっとやりようによっては広がると考え、もっとビジネスチャンスはあるとみているのか。業界の方々の受け止め方を聞きたい。

(委員)
各世代によって非常に絶望的な世代がある感じがします。果たして日本の魚食文化をそういう世代に対してレクチャーできるのか。

(委員)
ビジネスでいくのなら、文化はいらないということも考えられないわけではない。1日24時間はものすごく忙しいから、家事はさぼりたい。だから、家事は楽しいといかに思わせるか。また、健康という面から外国人をターゲットにしてもいい。

(座長)
また素材消費がだんだん衰えてくるのは、面倒くささとにおいにあると思う。

(委員)
都内の家庭では週2回しか生ゴミを出せない状況にあり、素材のままで購入して、調理をするとしても曜日が限定される。調理後の生ゴミをいかに処分するかが大きな問題で、今、環境問題でリサイクルの問題もあるのだが、メーカーにゴミをリサイクルする教育や粉砕してそのまま流すような方式等トータルで考えるべきではないかと思います。

(委員)
実際の消費者の食べ方は変化しているため、いろいろな食べ方を提案できるようにならないとダメではないか。

(委員)
当面伸びるのは外食とともに中食あたりが中心になる。中食がどういうパターンになっていくのかというのが、これからの特に卸売市場の方々にとっては重要になる。

(委員)
外食とともに中食が5年先、10年先の見通しとしてどのくらいの割合になるのか。

(座長)
ある実態調査の結果では、かなりの部分、素材から加工することはもう家庭ではなくなっている。これからは、加工型販売という形で、すべて中食コンセプトへ動いていく。

(委員)
今後、高齢者社会へと向かう中で、業者が加工品関係を持ってくるという宅配的な要素が増えていく。そのために市場がどういう機能を持っていくとよいのでしょうか。

(委員)
商店街の空き店舗対策と絡めて、ローカルキッチンというのをつくってほしい。宅配ではなくて、高齢者のための高齢者のキッチンをつくれば、素材を使って技術を提供することにより、高齢者の生きがいになるし、子供たちへ技術等を教える場になる。

(座長)
市場全体から、情報等を発信して、川上から川下まで全部一体となった流通を考えていかないと今後のマーケットには対応できない。やはり、分散機能ということを考えていかないといけないのではないか。

(座長)
顧客開拓機能等の分散機能は、基本的にマーケティングに依存すると思う。

(委員)
安全、新鮮という視点からの市場の重要性や美味に関して様々な情報、ディテール・サポートも含めて考えていかなきゃならない。新市場にはそういう設備も必要ではないか。

(委員)
各世代ごとに味覚が多様化していく中で、消費動向や食生活はどのように変わっていくのだろうか。

(委員)
高齢になっていくと和食回帰になってきている。しかし、全く価値観の異なる若い世代は、素材からつくる能力はないので、その人たちに期待をかけることは難しい。

(委員)
若い方たちの行動が絶望的な感じに思うが、新しい市場を考える時に、外食や中食に対してある程度の加工ということは考えていかなきゃいけないのではないか。

【事務局】市場は、新しい食文化をつくるために何をするのかということを発信していく場であってもいいと思う。

(座長)
卸売市場の特徴として、素材を料理することを文化として残すために一翼を担うとともに市場が素材から加工まで持ち、素材のプロというメリットを生かし、卸売市場内での加工と市場外流通での加工との差別性を図るという考え方がでてきたらいい。

(委員)
加工を全部市場で持つということではなく、最高の素材を持っているというブランドを生かしながら、機能分担し、切り分けの整理も必要です。

(座長)
つまりどこまで加工過程を握っていくかということです。ただ、今までのように素材を売りっぱなしという志向では難しいでしょう。

3.「新市場マーケティング調査」の実施について

事務局より目的・期間・内容について、各委員に対し説明

4.その他

事務局より懇談会ニュースの配布と次回の懇談会の内容と開催日程について各委員に説明

午後1時04分 閉会

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