福島県いわき市小名浜魚市場で被災産地支援研修会を開催しました!
平成27年3月31日
東京都中央卸売市場
東京都中央卸売市場は、翌日に震災から4年目を迎える平成27年3月10日(火曜日)、福島県いわき市地方卸売市場小名浜魚市場において、都内の消費者の方々を対象に被災産地支援研修会を開催しました。
現在、福島県のいわき地区の漁協では、平成25年10月から開始した週1回の試験操業が続いており、海域や業種が拡大されるなど、本格的な操業、出荷に向けた取組が確実に進められています。
こうした現地の取組や検査の状況を消費者の方々が視察し、漁業関係者との意見交換などを通じ、安全・安心の取組を実際に見聞きし、産地の取組を多くの方々に伝えて頂くことで、消費拡大や風評被害の解消に繋げることが目的です。
当日は、消費者の方54名が都庁からバスで小名浜魚市場に向かいました。車中では、放射性物質の基礎知識を解説した動画やいわき市の魅力をお伝えする動画を放映しました。
研修会場の小名浜魚市場では、福島県水産試験場の藤田漁場環境部長から福島県における海産魚介類モニタリング結果の概要について説明がありました。
震災後これまでに約25,000件の検査を実施、現在も毎週180件の検査を行い、検査結果は、翌日には福島県庁のホームページや新聞等で公表されているとの説明がありました。
魚介類への放射性物質の影響については、時間の経過と共にすべての魚介類で割合が明白に低下していること、魚種による傾向についても、詳しい説明がありました。
続いて福島県漁業協同組合連合会の鈴木専務から、福島県における試験操業の取組について説明がありました。
福島県沖は、親潮と黒潮がぶつかる潮目の海に、豊かな漁場が形成され、そこで取れる魚介類は「常磐もの」と呼ばれ、高く評価されていましたが、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、操業自粛を余儀なくされており、現在は、魚種と海域を限定した、操業と出荷を試験的に実施しています。
水揚げされた魚介類は、県の行うモニタリング検査と併せて、漁協独自にスクリーニング検査が行われ、国の基準を下回る50ベクレル/kg以下のものだけに「検査証」が貼られ県内外に出荷されています。併せて、試験操業の課題や本格操業に向けた検査体制の整備などについても説明がありました。
福島県や漁業関係者との意見交換では、参加した消費者からは「ほぼ安全が確保されたことを実感した」「地元の取組が良く分かったが皆に理解して貰うことの難しさも分かった」「まだまだ風評被害が続いていることを知り、我々消費者が皆に安全性を伝える運動に取り組んでいかなければならない」など、産地での安全・安心の確保に向けた取組を評価する声が大方を占めました。
その後、スクリーニング検査所を視察し、検査状況や測定器4台を使って魚種ごとに行う検査方法等について説明をうけました。
昼食は、試験操業で水揚げされた「常磐もの」の「めひかり」や「鱈」が並び、福島県産のお米や野菜が加わり、おかみさんのメニュー紹介を聞きながら、参加者は、福島限定定食を堪能しました。
帰りのバスでは、いわき市「見せる課」の取組を紹介する動画を放映し、アンケートの記入にもご協力を頂きました。
参加した消費者の方からは、「産地の取組がよくわかった」「参加してよかった」「現地の取組を周りの多くの人にも伝えたい」といった声が多く聞かれました。
バスの中でご協力を頂いたアンケートの結果は以下のとおりです。
問1 モニタリング検査体制について理解できましたか。
① よく理解できた 64.2% ② ほぼ理解できた 35.8% ③ あまり理解できなかった 0%
問2 試験操業の取組状況について理解できましたか。
① よく理解できた 62.3% ② ほぼ理解できた 37.7% ③ あまり理解できなかった 0%
問3 今回の研修で、被災産地の水産物に対する見方は変わりましたか。
非常に良くなった 43.4% 良くなった 43.4% あまり変わらない 13.2%
問4 風評被害を減らすために、何が必要だと思いましたか。(複数回答)
① 放射性物質の正しい理解 56.6% ② 福島県品の積極的な購入 43.4% ③ 検査体制など産地での取組のPR 86.8% ④ その他 11.3%
(その他の主な意見)
- マスコミ等を通じた安全性のPR
- 学校や公的機関での福島県産の積極的な利用
- 正確な検査結果そのものの提示
研修会に参加しての感想を聞かせてください。(自由意見)
- 地元の取組みがよく分かったとともに皆に理解してもらうことの難しさも分かった。
- 原発事故から丸4年の被災地の声を聞くことができた。まだまだ風評被害が続いていることを知り、我々消費者が皆に安全性を伝える運動に取り組んでいかなければと思った。
- 水産物については、ほぼ安全が確保されたことを実感。ただ、見聞きした自分が話しても不安をぬぐいきれない方が多いのも事実。原発報道等メディアの姿勢にも配慮が必要。産地のお土産を食べながら家族で今日の感想を話そうと思う。
- モニタリング等、大変力を入れて取り組んでいるのがよく分かった。こういった取組状況を多くの人に知ってもらい協力してもらえるようになることを望む。自分たちも周囲に知らせていきたい。被災産地の方々には元気で前向きに進んで欲しい。
- 資料等での情報入手だけでなく、実際に現地に行き、話を聞くことでコミュニケーションが生まれ良い経験ができた。都の広報紙等でこういった現地の取組状況を広めていくのも良いと思う。
- 研修前には、「福島産も検査をしているから多分安全なのだろう。でも他の産地と並んでいたら避けてしまうな」と思っていたが、現地での取組みを聞き、本当に安心なんだと思った。これからは、福島産を避けることなく、(他の産地と)同じ目線で見て選びたい。