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国立市富士見台「ダイマツ」

大地に根を張る松の木のように

移りゆく時代の流れ

JR南部線矢川駅前のロータリーから商店街を抜け、少し奥まった路地に青果物店「ダイマツ」はある。昔ながらの八百屋さん。目の前は都営団地が並び“昭和の雰囲気”そのままだ。
昭和48年開店。店主の日原重隆さんの叔父も新宿で青果物店を営んでいた。その実家には大きな松の木があり、松のように立派に地面に根を張るように「大松」という屋号を名乗った。現在の日原さんの店名もそこから冠したものだ。
昔、近隣に住む人々はお盆や正月といったお休み前ともなれば競うように買い物に駆け込んできたものだった。しかし近くにスーパーができ、価格や営業時間で苦戦を強いられるようになった。また、かつて店に足しげく通った店の目の前の団地の住民も高齢化が進み、スーパーの宅配サービスなどに頼るようになった。さらには団地自体の老朽化で空室が目立つようになった。だが、嘆いてばかりではいられない。新たな商売の活路を求めて日原さんは小売から近くの保育園や老人ホーム、会社の寮や食堂などへの品物を納入する「納め」に重きを置くようになった。

画像:都営団地の目の前の店舗

都営団地の目の前の店舗

市場の様子は変っても

配達は毎朝7時や8時ごろ。当然その前に市場に仕入れにいくわけだから体はきつい。でも活気みなぎる市場に行けば、青果のプロの魂で力がみなぎるのだ。といっても市場も大分変ったと日原さんは言う。情報化が進み、日本全国の品物の相場が分かるようになり、かつて市場で当たり前に行われていた「競り」はほとんど行われなくなり、前日に注文するのが主流になった。「昔の“出たとこ勝負”で品を買う競りの方が面白かったですよ」と日原さんは懐かしそうに話す。
しかし品の仕入れ先を市場に限る日原さんのやり方は変らない。ダイマツでは産直物は扱わない。安全、安心、そして安定した仕入れのために市場は欠かせないのだ。市場側も注文されたものを何とか供給しようと、台風などの後でも極力安定した品を確保するから信頼が構築されるのだと日原さんは話す。震災の影響も、産地の自治体が行った放射性物質の検査済証などを提示し、安全性を訴えることで、一時期の風評被害も徐々に回復してきた。

画像:野菜の話に熱が入る日原さん

野菜の話に熱が入る日原さん

「うちは品で売っている」

たまにスーパーの特売品などを見に行くこともある。過度に対抗するわけではないが、小売としての自負もある。「スーパーは値段で売っている。うちは品で売っている」と日原さん。品を見る目は負けない。また、客が黙ってレジを通り過ぎるのとは違い、店に訪れた人との何気ない会話も楽しい。その日入荷した旬の野菜や果物の美味しい食べ方などプロならではの知識でお客さんとの話の花が咲く。おいしい自家製漬物も人気だ。
人数は減ったが、昔ながらの付き合いの客はやはりいる。高齢化した団地の住民で、買い物が不自由だといえば、ジャガイモ1個ニンジン1本でも届けに行く。この地に根付いた松の木は、ちょっとやそっとの時代の移り変わりではたじろがないのだ。

画像:季節の青果が並ぶ奥の背中は日原さんの奥様だ

季節の青果が並ぶ奥の背中は日原さんの奥様だ

画像:「地元の方々との対話は欠かさない」と日原さんは語った

「地元の方々との対話は欠かさない」と日原さんは語った

データ

ダイマツ商店
〒186-0003 東京都国立市富士見台4-23-7
TEL:042-576-0800 FAX:042-576-0800
営業時間:9:00~19:00
休業日:日曜日

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