市場のグループで輸出に取り組んだ事例

グループ名:TOYOSU FISHʼS MARKET GROUP

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試行錯誤をしながら海外とのビジネスに取り組む

参加企業
株式会社内長(水産)、株式会社カネフジ(水産)、有限会社堺藤(水産)、太海株式会社(水産)

主要ターゲット国
アメリカ(ハワイ)、UAE、シンガポール

Q 参加企業の概要と、活動の主な内容をお聞かせください。

 我々のグループは豊洲の水産仲卸4社のグループです。主要ターゲット国としてアメリカ・ハワイを掲げ、 信頼できる現地のインポーターを獲得し、継続的に輸出することをめざして活動してきました。

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Q ターゲットとしてハワイ、次にドバイを選んだ理由を聞かせください。

 ハワイに向けた取組は、現地で日本の食材の卸・小売を営む企業との商談で始まりました。 ハワイには豊洲から多くの市場業者が既に出荷を行っており、結構競合があったので、この企業をうまく活かしていろいろ展開できないかなと話をした覚えがあります。 この企業からは「予算として助成金はあるのか」と質問がありました。 既に豊洲の業者がたくさん行っていますので、「何かイベント的なものがあれば教えてほしい」といった話もありました。 その後、あまり日本人業者が行ってない所で、まだ参入の余地がありそうなところとしてドバイが候補に挙がったのだと思います。

Q 既にハワイには日本産品がたくさん並んでおり、一部の豊洲の業者も参加していますが、この企業を中心にハワイで流通を組み立てようと議論したということですね。

 というよりこの企業が豊洲の業者にお客様を取られてしまい、それでビジネスが縮小したので、逆に対抗馬として新しい勢力を入れたいという話だったようです。

Q そういう背景があってハワイを掘り下げてみようと考えたのですね。

 この企業は、商品を買い取って商談するようなスタイルから、配送の手間賃だけもらうみたいなビジネス形態に変えようとしていました。コロナを経て航空運賃の変動も大きいので、先方からしてみればリスクヘッジになるんです。ただ、我々からしてみたら、「そのリスクをどうして引き受けなければいけないのか」という話になりました。

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Q 手数料をもらって、ハワイに到着後のデリバリーと集金を請け負いましょうか、という話だったのですか。

 一回出してみないとわからない、ということで国内の商社にも話をしましたが、条件面での折り合いがつきませんでした。我々としては、このハワイの企業が荷主として商品を買い受け、売り先も見つけて代金も回収するスタイルを期待したのですが、先方が考えるビジネスモデルとの差が埋まらなかったということです。
 それと、アメリカ向けの輸出は、現地の輸入者側が現地規則に適合していることの確認をすることになっていますが、これもネックになりました。対抗馬の豊洲の人たちの中には、加工施設の認定を取っているところもあると思います。彼らの方から、アメリカの本土のニューヨーク、ロサンゼルスに輸出することもできるみたいな話が出ていましたし、ハワイ経由で入っていくと、もっと楽にアメリカに入れるよみたいな話もあり、可能性は感じていたのですが。

Q 4社が結集するとマグロ、水産、活け物まで揃っていて、水産に関しては強烈な商品ラインですね。

 そうです。鮮魚は特に天然が強くて、他の仲卸も輸出用を買いに来ています。豊洲の中はみんなそんな関係で特に集荷力っていうか、商品力は強いですよね。
 産地から輸出することができないのであれば、我々が代行するよという、そういう場所にしてあげることが結果として「豊洲ブランド」になっていく。産地と共存共栄していく形で、この豊洲から輸出できればすごく面白いと思います。

Q その後は、どのような取組をされていたのでしょうか。

 現在は、情報収集を進めつつ、グループ4社でそれぞれ輸出先の開拓をしています。 ある会社では、そんなに規模は多くないですが、週に2回オーダーがあります。 国内のお客様に比べても小額ですが、利益率は高いです。流通は鮮魚ですから冷蔵です。

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Q すごいスピーディーですね。見積もりも値決めもLINEですか。

 いや、LINEでやっています。

Q オーダーはメールですか。

 そうです。オーダーは大体休みの日の次の日なんです。水曜日の夜中にオーダーが入って、朝、出荷の形になる。オーダーが変わったのでこれも追加できませんかというのが、ちょこちょこ入ってくるのでメールだと見落としたりしますから、LINEじゃないと対応に困ります。

Q これから輸出をめざす方々に対して、アドバイスがあればお願いします。

 結局、そもそも国内で持ってる強みがそのまま評価されてる形だと思います。今まで海外に進出してないってことは「伝手」がないということじゃないですか。だから、伝手が知りたいというのでしたら、誰かにアドバイスか、紹介をしてもらうしかない。仲卸業者さんってやっぱりみんな忙しいんですよ。休めないし、小さい会社で5、6人でやってるとこには専門の「海外開拓事業部」なんてものはありませんし、「ちょっとシンガポールかどこか行って卸探してこいよ」とか、そんなことはできないじゃないですか、絶対。ここでやってる人間たちは。それは無理だと思う。だから、情報を持っている支援機関などをうまく使うのがいいのではないかと言いたいですよね。

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Q 情報の取り方をしっかり、ということでしょうか。

 ただ、バイヤーに「これがある」「これがない」と問い合わせするより、実際にやった方が全然速いんですよね。準備しましょうっていうよりはまずは商談の機会を設けてみて、うまくいかなかったら何が駄目だったのか、じゃあここをちょっと変えてみてというような試行錯誤をもっと早くできたら、いろいろなことがわかってくるんじゃないでしょうか。

記事ID:016-001-20250121-009632