市場のグループで輸出に取り組んだ事例
-
色鮮やかに鮮度良く、東京で集荷したものを海外に発信する合同会社を設立
参加企業
主要ターゲット国
Q 参加企業の概要と、グループ名をお聞かせください。
我々は豊洲の水産2社と青果の1社、大田の青果1社の計4社からなるグループです。グループ名は色鮮やかに鮮度良く、東京都で集荷したものを海外に発信するという意味で「All Tokyo Colors」と名づけました。
Q 4社で会社を立ち上げたそうですね。
4社はそれぞれ国内取引がメインですが、輸出を行っているといろいろなものが欲しいと言われます。そこで、All Tokyo Colorsとしてお客様の窓口となる合同会社を設立しました。窓口が一つになることによって、お客様にとって手続きや対応が一元化できる。一番いいところは、ワンストップオーダーとワンストップサービスで、すべての情報を一か所に集約でき、スピード感、また瞬発力があるということだと思います。それぞれの会社が出荷する形だと、インボイスの関係などでお客様にとって割高になることも考え、会社を設立する選択をしました。
Q 実際に商談をされてみて、反応はいかかですか。
例えばジェトロの商談に行っても、当社が扱っているのが干物だけだと加工品なので輸入規定の問題があり、商談相手とのお付き合いが難しいのですが、相手がフルーツを求めていた場合、「この会社とは付き合っておこう」という話になります。商品の取り扱いが多いと商談の機会も増えることを実感しました。
Q 合同会社の運営面の負担はいかがですか。
会社にしないでグループ単体でやっていると、お金のやりとりが何度も発生します。それならば会社にして、その売上から決算費用だったり、営業のお金だったり、広告に使うお金などを出しましょう、という感じで取り組んでいます。会社としての運営経費は、窓口となるメールの受付などシステム的なものぐらいです。それぞれの会社にこの合同会社の営業マンがいるようなもので、人を雇ったりはしていません。そのほうが、お客様としても直接プロの目利きができる仲卸と商談でき、価格面でもメリットがあると思います。
Q オペレーション、商品の品ぞろえ、決済という三つが合同会社にしたことによってクリアできたとこういうことですね。
本当にそうです。会社にしたときに商品がかぶっていなかったことも良かったと思います。
Q 会社は具体的にどういう形で運営されていますか。
今はオンラインで運営しています。LINEグループに各社の担当者も入っていますので、商談が来た時に求めているのがどこの商品だというのがすぐわかります。価格交渉はそれぞれ分かれてやっていくことで、スピーディーに値決めできています。
Q 合同会社の販促はどうされていますか。
ジェトロの商談とか商談会は何回も登録して行っています。また、あるシステム会社とLINE上で見られる商品カタログを作る実証実験を進めています。アイデアはいっぱい出ており、これが海外用の商品、という特別なものを決めるのではなく、国内でも評価が高いものを出していきたいと考えています。この会社だから、この中央卸売市場でないと扱えないものを提案し、お客さんに合ったものを提案していくという、基本的に海外も国内もいっしょの取り組み方です。
Q 実際にグループを組んで輸出に取り組んでみた感想はいかがですか。
1社だけでやるのとグループとでは情報が違いますね。業界も違うし、実際に輸出をやっている取引の事例とかもあるし、そういった情報も入ってくる。あそこがああいうことをやっていたらしいよとかいう話とかも来ます。話しにくいお金の話だとか、利益の話だとか、作業の分担や負担の話とか、会って話せる関係が作れたことはすごいプラスになっています。グループを組むことでビジネスの可能性が広がり、この先も輸出に取り組んでいこうという流れが少しずつできてきています。
Q 意地悪な質問かもしれませんが、グループを組むことで不利に感じた点はありますか。
コミュニケーションの方向性を一致させるのに、社内みたいに気軽に会えるわけではないので、時間が取られるのは不利と言えば不利かもしれませんが、私たちは飲み会のようなものも含めて、なるべく話す機会を設けるようにしています。
Q 後に続く市場関係の方に、輸出への取組みに対してアドバイスがあればお願いします。
大事なことですが安売りしてほしくないですね。市場だから安い値段で先行して売れてしまうと、その値段になってしまい絶対にそこから上がることはないということです。